ふさぎ込んだ日々と、ほんの少しの希望のはじまり。ーーー夢を手放したその後の、私のリアルな日々

よりみち仕事記録

この頃の私は、毎日がぼんやりと曇って見えていました。朝がくるのがただ怖くて、目が覚めてもベットから起き上がる理由が見つからない。何をしていても、ふとした瞬間に涙が出そうになる日々。「私、どうしたいんだろう…。」って、自分に問いかけながらため息ばかりついていました。

好きだったはずのことも、美容室にいっても現実は楽しめないしお客さまに触れるのもだれかとかかわることも怖くなって。外に出る元気もなくなって、携帯をみることさえ億劫になって。頑張ってきたつもりなのに、どうしてこんなにも自分は弱いんだろう。そんなふうにして、私は少しずつ、自分のことがわからなくなり嫌いになっていきました。

中・高校の頃、私は部活でずっと厳しい環境に身を置いてきて、メンタルも体力もそれなりに自信がありました。だからまさか、自分がこんなふうになるなんて、思ってもいませんでした。眠れない夜が続いたり、誰かに会うのが怖くなったり、自分にはもう、社会の中で居場所なんてないんじゃないかーーー。そんなふうに思い込んで、どんどん深い穴に落ちていくような感覚でした。

それでも、生きることをやめなかったのは、当時そばにいてくれた彼の存在があったから。(現在の旦那)「もし、彼女が突然いなくなったら、悲しむだろうな。嫌な思いさせちゃうな。」そんなふうに考えたとき、私はなんとかその場に踏みとどまることができました。

このままじゃ、お世話になった会社にも申し訳ないと思って、思いきって退職の連絡をしました。

それからしばらくは、気晴らしのような感覚で彼と一緒に、パチンコやスロットに通っていました。なぜかその頃は勝つことが多くて、ふたりで「今日は、ツイてたね!」って笑いあったり、勝った日にはちょっといいごはんを食べにいったり。次の日もまた「今日はどんなアツい演出見れるかな?」なんて話しながら並んで打って、小さな楽しみを共有できる時間が、少しずつ心を軽くしてくれました。

気づけば、「明日が楽しみ」って思える日が、少しずつ増えていたんです。

あの頃の私は、自分のことが本当にダメな人間だと思い込んでいたけれど、今振り返ってみるとーーー「心が折れたあの時期も、ちゃんと私だったんだな」って、思えるようになりました。前みたいにがむしゃらにはなれなくても、小さな楽しみを大事にしたり、誰かと笑いあえる時間を少しずつ重ねていく中で、私の中にあった”頑張ること”の形が、ゆっくりと変わっていった気がします。

あのときの私は、「夢をあきらめた自分には、何も残らない」と思っていたけれど、今になって思うのは、本当にダメになってしまったわけじゃないということ。

ただ、あの頃抱いていた”夢の形”が少しずつ変わっていっただけ。

「美容師じゃなきゃいけない」って思い込んでいたけど、もっと今の自分らしい場所があるんじゃないかって、心の奥で気づきはじめていたんだと思います。

もし、今何かに挫折して自分を責めている人がいたら、どうか、その気持ちごと置いてけぼりにしないであげてほしいです。私も、自分なんてもうダメだと思っていた時期がありました。でも、あの時間があったからこそ、今こうして、自分の気持ちに正直になれている気がします。

立ち止まってもいいし、夢をかえてもいい。道に迷ったって、それは”遠回り”じゃなくて”よりみち”だと、今は思っています。誰かと比べなくていい。ちゃんと、自分のペースで歩いていけばいいのです。またいつか、笑いあえる日がやってくるから。

今は「あの頃の自分」もまるごと受け止められるようになったからこそ、同じように迷っている誰かの力になれたらと思って、こうして書いています。

そしてーーー

ふさぎ込んでいた毎日の中で、少しだけ前を向く”きっかけ”となる出会いが、ある日突然やってきました。それは、日課のパチンコ帰りにふと立ち寄った駅の中。キラキラとした服が並ぶお店の前に、何気なく貼られていた一枚の紙でした。

”スタッフWANTED”ーーーそんな文字に心が動いたのは、隣で「そろそろ働いてみたら
?」と笑った、彼のひと言があったからかもしれません。

次回、そこから始まった”アパレル挑戦物語”をお届けします。夢を失ってから見つけた、新しい世界のお話です。読んでくださり、ありがとうございました。

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