小学校から高校までずっと仲良しだった友だちの家が美容室でした。学校が休みの日には、よく遊びに行っていて自然とその空間が私たちの”遊び場”に。見ようみまねでシャンプーをしあって、二人で顔に泡や温水が飛んで大爆笑したり、鏡の前で髪を整えあいながら「いいじゃん!」「こんな感じは?」なんて言いあったり。今思えば、あの頃から”美容”にふれることが、楽しくて仕方なかったんだと思います。
その友だちとは美容にも興味があって、進路を決めるころには、気づけば二人とも同じ美容専門学校へ進んでいました。好きなことが一緒なのは、やっぱり楽しい!技術の練習も、授業も、学校が終わってからの時間も、全部が新鮮で、夢中になれる毎日でした。
学校では新たな仲間との出会いもあり、ますます毎日がにぎやかに。私は、学校の近くの寮に暮らしていました。寮の部屋では、友だちと髪を染めあったり、「何してるの~?」なんて言いながら練習を覗きに行ったり、笑いが絶えない毎日。「同じ夢を目指して頑張ってる」っていう空気が心地よくて、楽しいだけじゃく、刺激もたくさんもらっていました。
そして、卒業後は美容室に就職。いよいよ「なりたかったわたし」への一歩が始まりました。
しかし、現実は想像していたよりもずっと厳しくて、毎日が忙しさの連続。営業が終わってからは夜遅くまで残って練習。気がつけば家とお店を行き来するだけの生活になっていました。最初はがむしゃらに頑張っていたけど、疲れすぎてごはんを食べることさえおっくうになって、日に日に食べれなくなっていきました。ある日の帰り道、いつものように自転車をこぎながら音楽を聴いていると気づいたら涙が止まらなくなっていました。誰にも言えないまま、ただただ疲れて、悲しくて、でもやめる勇気もなくてーーそんな日々が、しばらく続いていました。
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だけどそんな中にも、少しずつ心があたたまるような出来事もありーーー。次回は、そこからの”よりみち”のはじまりについて書いてみようと思います。読んでいただき、ありがとうございます。
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